家族、特に母子をテーマにした映画。
それぞれが役を果たした作品だと思います。
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【映画】【家庭】【ジェンダー】【母】【リノベーション】
作品の紹介
監督: 荻上直子
出演: 生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、小池栄子
生田斗真がトランスジェンダーを演じる作品です。
LGBTと家族が接するところでストーリーが展開していきます。
タッチーなところを編み物でモチーフにすることで丁寧に表現しようとする姿勢が伺えました。
家族とお家 ~古くても変わらないもの~
基本的には家の中でストーリーが進みます。
その都度、映し出される住み方というか暮らし方がおもしろかったです。
リンコとマキオは古い集合住宅をリノベーションしたところに住んでいます。
もともとはテレビと本しかなかった殺風景な部屋にソファとテーブルが置かれて、間接照明で落ち着く雰囲気の部屋に変わっていく。住むところがリラックスできる、帰りたくなる家になります。
彼らが家から出かけるときは自転車とバスが主な交通手段で、おそらく車は持っていないです。
家で食事をして、ビールを家で飲む。リノベーションされている家のように、生活も昔ながらの生活と現代の若者のようなスタイルを組み合わせているような印象を受けました。
古いものを大切に活用して自分たちの生活を慎ましく豊かなものにしている姿勢は受け入れやすいものでした。昔からのジェンダーに対する価値観を理解しながら、自分たちがどう生活するか、どうやってより豊かになるか考えていることが伝わってきました。
対照的に職場の若い同僚の結婚式は神前式で厳かに執り行われます。
新しいものと古い価値観がうまく組み合わされることを表現して、根幹にある男女や夫妻といった概念は古くからあって、現代の生き方が大きく変わったとしても織り込まれた1本の長い毛糸のようにずっと続いていることを示しています。
この映画には父がいません。何度か『乳』が話題に上がるのは皮肉なんでしょうか。
あるいは、父親役は必要ないのかもしれません。母である前に女、という物言いに対して、親である前に人としてどうなのか、という返しがありました。
父である前に人としてどうなのか、考えながら過ごしていきます。
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